カテゴリー別アーカイブ: 耳よりな話

法律を知らないからといって処罰を免れない

法律を知らないからといって処罰を免れません!!」

警察から、しばしばそう言って責められます。

たとえば外国人の不法就労伊勢エビ密漁での漁業法違反などなど。

法律を知らなければ、処罰できないということになれば、

犯罪者天国になってしまいます。しかし、

違法ではない、許されることだと信じていたのにいきなり罰金だ、懲役だとして前科者になってしまうのでは、物騒で仕方がありません。

そこで、「違法性の意識」という観念がでてくるのです。

法律で処罰されるとはしらなかったとしても、「やっちゃ悪いことだ」とは思っていたでしょう、と来るわけです。

違法性の意識があれば、法律を知らなくでも処罰できるという理屈です。

実際には、警察も多少強引に進める場合もあれば控えめな場合もあります。

ケース・バイ・ケースなので、弁護士にご相談ください。

直葬センターの営業差止が認められました

 当事務所は、平成30年3月1日、直葬センターの営業差止の仮処分決定を取りました。

 直葬とは、宗教儀式を行わず、火葬のみを行う葬儀の形態です。通夜や告別式はしませんが焼香やお経を上げたりはします。法律上、人間は死亡後24時間は火葬することができないので、火葬までの間、病院や自宅以外で遺体を安置しておき、そして24時間以上経過したのち、火葬にするのです。

 直葬センターとは、死亡から火葬までの24時間以上の間、遺体を納棺して安置しておく施設のことで最近あちらこちらで見かけます。

  今日の社会において、一定の需要はあるのでしょうが、当然、 直葬センターとを設置する場所はどこでも良いということでは決してありません。業者と近隣住民との間でのトラブルも何件もの裁判になっております。

  今回の事案は、住んでいる家の正に真横(壁と壁とが接着している隣の建物)で直葬施設の営業が開始されたことにより、人格権の一内容である平穏に生活する利益が侵害されているとして、住民側がその営業の差止めを求め裁判所(神戸地方裁判所姫路支部(ヨ)31号事件)が認めたというものです。

 今後、本件と同様の事態が各地で起こる可能性は大きいでしょう。同様のトラブルに直面した際には、本件が参考になると思いますので、是非当事務所までご相談ください。




驚き!!勾留に代わる観護措置請求の却下

久しぶりに、勾留請求に代わる観護措置の却下命令を頂きました。

被疑者が逮捕されますと、通常48時間以内(場合によっては72時間以内)に勾留請求されます。逮捕されて48(よんぱち)の略式罰金でもなければ、まず勾留請求されます。勾留して捜査する必要がないのに逮捕すれば、逮捕自体が人権侵害と評価されかねないからです。

勾留請求されますと、当たり前のように10日間の勾留が認められてしまいます。未成年の場合には、勾留請求に代わる観護措置が請求されます。警察の留置場に留置するより、少年鑑別所の方が拘束が緩やかだということです。

一旦勾留されますと、なかなか出て来れません。逆に、一旦勾留請求が却下になりますと、最後まで、まず身柄の拘束はありません。だから、勾留請求(または勾留請求に代わる観護措置請求)が認められるかどうかは、決定的に大事なのです!!

25年前に勾留請求の却下を頂いたときは宝くじに当たったような感覚でしたが、最近は、司法改革もあって勾留請求の却下率が高くなってきたので(平成27年度大阪で2%)、狙って取りに行けるものとなっています。

ただ、弁護士が被疑者との接見のために警察署に行ったときには、既に勾留請求のために検察庁・裁判所に行っており、勾留請求を争うための書面等を準備するどころか、被疑者本人との接見も間に合わないということも多いのが現状です。

今回は、逮捕直後に保護者が弁護士依頼に動いてくれたおかげで、被疑者少年の権利主張が間に合ったのです。却下の理由は、勾留請求に代わる観護措置の「必要なし」ということでした。しかし、弁護士を依頼して被疑者少年側の事情を主張していなければ、当たり前のように認められていた事案でした。

 

裁判所の接見禁止命令と準抗告

 犯罪の被疑者として、捜査機関に逮捕されると普通は翌日か翌々日に、勾留ということで、留置場にとめられてしまいます。普通は20日間ですがまれに10日間ですむ場合があります。建前は罪証隠滅や逃亡を防ぐためだということになっていますが、本当は、身柄を押さえて、朝から晩までぎゅうぎゅう取り調べることが目的です。

 
  この場合、留置場に入れられても、家族・友人・知人との面会はできるのが普通ですが、罪証隠滅のおそれがあるということで、この面会も禁止されてしまうことがあります。これを接見禁止というのですが、一応法律で認められた制度です。この接見禁止も捜査が完了して起訴されてしまえば、普通はもう罪証隠滅もできないだろうということで、起訴と同時に家族・友人・知人との面会ができるようになります。

 
  ところが、先日、起訴前の勾留のときには、それほど罪証隠滅のおそれもなかろうと言うことで、接見禁止にはなっていなかったのに、起訴と同時に接見禁止になってしまいました。家族との面会もできません。これは否認(自分は無罪だと主張すること)している被告人への、露骨な嫌がらせであることは間違いありません。申し立てした検事も検事ですが、それを認めた裁判官も裁判官です。昨今の法曹の劣化が明らかです。

 
 しかし、勿論、放置できませんので、不服申立(準抗告といいます)をして、直ぐに取り消してもらったことは言うまでもありません。警察・検察は全く油断ができませんし、裁判所も鵜呑みにはできません。

DV「シェルター」

DV「シェルター」をご存じでしょうか?暴力夫からのDV被害女性を一時的に保護する施設で、市・町や警察その他いろいろな団体が窓口になっています。

世の中にはとんでもない夫がいて、何をさておき逃げ込む場所が必要な場合があって、その後の住宅確保や就労支援にもつなげられているようです。
 いるようですというのは、どうも弁護士に対しては警戒感があるようで、よく分からないのです。弁護士は、いつも被害女性の代理人をするとは限らないわけで、夫の代理人をすることもある訳です。暴力夫が弁護士に依頼することもあります。そこで施設側も、安心できないと言うことかも知れませんが、女性が1度シェルターに入ってしまうと、その女性の代理人の弁護士でも全く連絡が取れません。こちらからも連絡できませんし、シェルター内の女性本人から連絡してもらうことも出来ません。シェルターがどこにあるのかも分からないのが建前です。
 しかし、離婚となると、協議離婚できなければ(暴力夫の場合には協議離婚が出来ないことが普通です。)、裁判所で調停、訴訟をしないといけないのですが、弁護士に依頼しないと困難です。保護命令(暴力夫のつきまとい、周辺徘徊の禁止や住居からの立ち退きを求めるもの)も、弁護士に依頼することが多いでしょう。   結局、現状では、何をさておき逃げ込んで(4,5日~1ヶ月程度)、一息ついてシェルターを出てきて、弁護士に依頼すると言うことになるのでしょうか。しかし、シェルターから弁護士への連携は普通ありません。
  労働事件の企業側の代理人と労働者側の代理人、医療過誤訴訟の病院側の代理人と患者側の代理人というように、ある程度でも、弁護士の色分けが出来るようになれば状況が変わるのかも知れませんが、今のところ変わりそうだとも言えません。現状では、暴力夫の代理人をするときには、暴力夫の理不尽な要求については距離を置き、弁護士が変に熱くならないと言うことが必要なのでしょうね

裁判中に5年が経過して執行猶予の判決

刑務所から出所して(正確に言うと仮釈放の場合には、残刑期間が満了して)から、5年過ぎてないと執行猶予の判決はできません。だから、通常は、無罪を主張するのでなければ、あきらめて刑務所に行ってらっしゃいです。

その人は出所して4年ちょいで万引きをしてしまいました。実は1年前にも万引きをしました。そのときは、罰金で済ませてほしいと検事さんにお願いしたら、起訴猶予になりました。起訴猶予というのは、起訴したら有罪になる事案でも、検事さんが、諸般の事情を考慮して勘弁してくれるという制度です。今回もお願いしたのですが、起訴されてしまいました。 続きを読む

アイフルが元気です

  世間の情報によると、会社の経営が苦しいということで、過払い金の返還もずいぶんに渋っているアイフルですが、広告なども盛んにやっておりとても苦しいとは感じられません。
 先日、私が担当した事件では、利息制限法で引き直し計算をしてとことん頑張ったところ、アイフルは控訴までして抵抗しましたが、最終的には返済日までの損害金を含めてすべて回収できました。
 アイフルのどこが元気かといいますと、従業員のモチベーションが非常に高いのです。私の事務所へも減額を求めるずいぶん高圧的な電話が何回もかかってきました。半年先はわかりませんが、今のところ大変元気な様子です。

自動車運転過失致死(求刑を軽くした上で更に執行猶予の判決)

 死亡事故で執行猶予付きの判決を得ました。以前は前科さえなければ、普通に執行猶予がつきましたが、今はなかなか厳しいものがあります。遺族が法廷で切々と訴えたり、その遺族の代理人の弁護士が、検察官の横の席に陣取って検察官以上の厳しい意見を主張したりするからです。
 ただ、今回は、前科もなく、自動車運転過失致死罪のほかには、酒気帯びや速度違反や信号無視などの悪質な交通違反の全くない事案でしたので、執行猶予は付く事案でした。 ここで特に言いたいのは、検察官の求刑を減軽した上で執行猶予がついたことです。裁判所は検察官の求刑に対して、実刑にする場合は大体求刑の8割の刑にするのですが、執行猶予を付けるときには、求刑通り宣告した上で執行猶予を付けます。例えば、今回は禁錮2年の求刑でしたから、禁錮1年6ヶ月の実刑になるか、禁錮2年で執行猶予3年の判決となるが普通なのです。ところが、裁判所は禁錮1年6ヶ月執行猶予3年の判決を言い渡したのです。なぜか?
  本件の被害者が事故直前に車道を歩いていたので、被害者にも落ち度が考えられる事案でしたが、検察官は論告のときに、「歩行者が車道を歩くことは禁止されておらず、被害者に特段の落ち度はない」から被告人の責任は重く、禁錮2年が相当だと主張しました。しかし、これは明らかな誤りなのです。道路交通法10条2項は歩行者の歩道通行義務を定めており、被害者はこの法律に違反していたのです。私はこのことを指摘して、検察官の求刑は道路交通法の解釈を誤ってなされたものだから、これを減軽した上で執行猶予を付けるべきだと弁論したところ、裁判所が認めてくれたわけです。検察官が間違うわけがないと一般には思いがちですが、わざとかうっかりミスかはしれませんが、小さい事件ではあることなのです。検察官の主張を鵜呑みにしてはいけません。